ぼくと世界とキミ
「ここが結界の中心部。魔力の溢れる地よ」
そう言って少女が両手を広げてニッコリと笑った。
深い森をそこだけくり抜いた様に、ぽっかりと開いた小さな空間。
色取り取りの花が咲き誇り、それは空から降り注ぐ眩しい太陽の光でキラキラと光っている。
その奥には小さな泉があり、澄んだ綺麗な水が風に揺れ不思議な波紋を浮かべていた。
「二人にも私の姿が見えるでしょ?」
そう言って少女が二人に笑い掛けると、二人は急に目の前に現れた不思議な少女に驚く様に目を丸くしている。
「ずいぶん可愛らしい姿をしていたのね。……ね、ジル?」
「……そうだな。あんなに生意気な声の持ち主が、まさかこんなに可愛らしい姿をしているとは……意外だったな」
セリアの問いにジルは引き攣った笑みを浮かべてそう答えると、小首を傾げて少女を見つめた。
……《少し》……いや……《かなり》ムカついていたに違いない。
「ここで少し休みましょう。結界が開くまでもう少し時間があるし……ここなら体力の回復も早いから」
少女はサラッとジルの嫌味を流すと、ちょこんと俺の肩に腰を下ろした。
完璧にスルーされたジルは体から黒い邪悪なオーラを放ち、片眉をこれでもかと吊り上げたまま俺を睨む。
……こ、怖い。
青い顔をしたままその視線には気付かない振りをすると、その場にそっと腰を下ろした。
すると困った様に笑うセリアと、すこぶる機嫌が悪そうなジルは、俺と同じ様に近くに腰を下ろした。
……それにしても……不思議な場所だな。
そんな事を考えながら、そっと辺りを見回す。
風が優しく吹き抜け、美しく咲き誇る花の甘い香りがする。
水のせせらぎに風に揺れる木々の囁き。
それから木にとまり美しい唄を奏でる不思議な鳥達。
確かにこの場には特別な力が溢れている様だった。
静かに目を閉じると、体の中を温かな何かが流れていく気がする。
さっきまであんなに疲れていたのが嘘の様に、体が癒されていくのが分かった。