ぼくと世界とキミ
「そういえば……」
さっきの話の続きをしようと口を開くと、俺の肩に乗った少女が少し悲しそうに笑った。
「《守護者》がなぜ私の邪魔をするか……でしょ?」
そう言って少女は自嘲気味に笑って小さく息を吐くと……そっと瞳を閉じた。
「あの子は……私のたった一人の家族なの。私達は長い時を共に過ごし、共に生きてきた。あの子も私も……多分この世界に残る種の最後の生き残り。魔力を糧に生きる種族は殆ど死に絶えてしまったわ」
少女は悲しそうに俯き語り続ける。
「人間たちが魔力の源である森を焼き払い、住処を奪われ、魔力を失い死んでいく。私の様な種族は……もうこの世界では生きていけないのよ。生きられる場所は本当に限られている」
その少女の言葉と共に、遠くから誰かの声が聞こえた気がした。
(……人間……愚かな人間)
低く反響するその声は、俺の心を酷くざわめかせる。
「だからこの場所だけは守らなくてはいけないの。あの子だってそれは分かっているはずなのに……私が《結界になる》のを認めようとしない」
「……結界に……なる?」
思わず少女の言葉を繰り返して返すと、少女は儚い笑みを浮かべて俺を見つめた。
ジルとセリアは驚いた様に目を見開き、それからすぐに表情を曇らせると俺から目を背ける。
「ちょ、ちょっと待てよ!!《結界になる》って……お前が!?」
その俺の叫ぶ様な問いに、少女は俯いたまま否定も肯定もしない。
「……それって……」
そこまで言って言葉を詰まらせ二人を見つめると、二人は全てを理解したかの様に悲しそうに瞳を揺らしていた。
セリアは微かに唇を噛み締めたまま少女を見つめ、ジルは視線を逸らす様に遠くを見たままこちらを向こうとしない。