演技レッスン進行中!~誇り高きクィーン、目指してもいいですか?~
母さんが、姉さんの名前を呼んだ。

引かれた。
そんな言葉が、ループしている。


そのあとのことは、よくわからなかった。

理解しようとしているのに
脳が回らなくてのどが詰まる気がした。

けれど、姉さんが、どうなってしまったかは
――――わかった。


父さんは、姉さんを守れなかった自分を恨んだ。
母さんは、バケツいっぱいになるまで、泣いた。
だから私は、怒る。姉さんが天国でも笑えるように。
この世からいなくなってしまったことに責任を感じてしまわないように。


葬儀が行われたのは、それからすぐだった。

姉さんが責任を感じてしまわないように。
そんなことを言っていたけれど
姉さんの姿を見たときに、涙があふれて止まらなかった。

「うぅっ・・・うう・・・うあぁぁ!」

声にならない鳴き声が嗚咽となって漏れる。

「な、なんでよぉ!姉さん!また会おうって言ったじゃん!うぁっうぁぁっ」

中学生だとは思えないような子供っぷりだった。

顔を真っ赤に染めて
服をびちょびちょにぬらして
疲れるまでずっとずっと泣いた。

「玲愛ちゃん・・・」

母さんは、そんな私を止めることはしなかった。

悲しそうに、見つめてくる。

それがもっともっとつらくて。
事実を突きつけられている気がした。
悔しくなって。

きっと、姉さんなら優勝できたんだろうな。

いつか、テレビをつけたら姉さんの顔があって
母さんと父さんと笑いあって。

姉さんの出ている舞台を見に行って。

――――そのはずだった。

叶わないなんて、予想してなかった。

苦しい事実だけが、私にのしかかってきた。
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