まことしやかな恋



 微睡みから目覚めた昼下がり。

 重たい瞼を開ければ、無防備な男の寝顔が視界に飛び込んできた。

 安心しきった顔で眠る男の耳には、私の色がある。


「……」


 男の腕から抜け出して、静かに見下ろした。

 眠る心臓に手を当てて、鼓動を感じながら、その存在を確かめる。


「──ふはっ、同じ場所にあるじゃん……」


 自分の運命と同じ場所。

 淡いピンク色のハートマークが笑う。

 失った体温を探すように、性悪な恋人は手をふらふらと彷徨わせていた。薬指には贈った指輪。硬質な輝きが、窓から射し込む秋の陽光を反射させている。


「おやすみ、運命」


 あたたかな腕の中で、私はもう一度目を閉じた。


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