まことしやかな恋
視線を逸らし、逡巡する恋人を甘く見下ろす。
幸せに浸りながら俺の色のピアスを身につける葵子を眺めていると、俺だけを映す双眸が戻ってきた。
なにを訴えているのか読めない猫目が、ぱちぱちと瞬きをする。指輪を嵌めた方の手、指でピストルの形を作る葵子が、俺の心臓にとんっと人差し指を向けた。
「ばーん」
運命のハートマークが、撃ち抜かれる。
あまりにも可愛いことをした真顔の恋人に、思考も呼吸も止まった。
「な、なに今の……? か、可愛いんだけど、ちょっと待ってね、可愛すぎて処理できてないから、良い子にして、すこし待ってね……」
「やだ」
「…………」
……やだって、なに。かわいい。
するりと、首に腕が回される。ねだるように、目尻をゆるりと垂らす姿に、なけなしの理性がほろほろと崩壊した。
「……んっ」
何度も、角度を変えて唇を啄む。
甘い吐息すらも独占したくて、息苦しいと喘ぐ恋人に深く唇を合わせた。舌を容易く捕まえて、本能のままに堪能する。
「俺の運命、愛おしすぎるね」
陽だまりと星屑に包まれて。
運命じゃなくても、まことしやかな恋でも、なんでもいいと思った。
彼女が、俺の隣にいれば。
【 fin. 】