第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 気付けば、皆が澄春と千咲を見守っていた。ニコニコした温かくも照れてしまうような視線。澄春とのやり取りを全部見られていたらしい。

 千咲は頬を染めて俯いた。

「仲がよくてよかったわ」

 叔母の大きな声に、ますます恥ずかしくなってしまう。

「披露宴会場に移動しましょうか」

 正樹が咳払いをしながら言い、空気を変えた。

 これからホテルの大広間に設置された披露宴会場に向かうことになっているのだ。

 挙式とはがらりと変わって、会社関係の招待客から、同僚友人を招いた盛大な宴になる。

「そ、そうですね。あの、披露宴会場まで離れているので、皆さん、おばあちゃんをお願いします」
「ええ、任せて」

 澄春の叔母が自信に溢れた声で請け負ってくれたのでほっとした。

 祖母たちを見送ったあと、千咲と澄春は衣装を整えて披露宴会場に入った。

 ベストマリアージュの広報も兼ねているため、カメラが入っている。

 緊張する千咲の手を取り、澄春が堂々と高砂の席に立ち、マイクを持った。

 彼は注目する人達に晴れ晴れした笑みを浮かべて口を開いた。

「本日は私たちの結婚披露宴にご出席くださりありがとうございます。皆さまがご存じのとおり私たちはベストマリアージュの縁で夫婦になりました」

 澄春は一瞬千咲に目を向けてから続ける。

「私にとって最良の縁を得たベストマリアージュですが、結婚に最適な相手を判断するツールであり、一番相性がいい相手との結婚を強要するものではありません。どうするかはあくまで本人が決めることであり、私たちが今日という最良の日を迎えられたのは、お互いが誠実に歩み寄った結果だと思っています。これからも私たちこの縁を大切にして、夫婦手を取りこれからの人生を歩んでいきます」

 澄春の堂々とした宣言に、会場からは拍手が巻き起こる。

「皆さまの祝福に感謝します。ありがとうございます」

 一斉にフラッシュがたかれる中、千咲は澄春と共に微笑んだ。

 初めは彼と幸せになれるなんて思わなかった。

 でも、彼を知っていくうちに愛情が育ち今ではもうかけがえのない人になった。

(ありがとう……)

 千咲はこれまでのすべてに感謝をしながら、澄春に寄り添った。
 
 
end
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