第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
「問題がないから選ばれたんだろう」

 澄春はどこまでも自社製品の性能に自信を持っているようだが、千咲は彼の反応に驚愕していた。

(選ばれたら誰でもいいの? そんなにあっさり受け入れられるものなの?)

 彼からは、結婚に一番重要なはずの感情が見えない。

 圧倒されるくらい決断に躊躇いがない。彼はまるで機械のようだと思った

 千咲とは考え方がまったく違う。だからこそなぜ彼との相性が良いと判定されたのかが分からない。

 この数分のやり取りだけで、千咲と彼は相いれないと分かり、結婚なんて無理だと思う。だからと言って、はっきり断りづらい。

 千咲が言葉を失っていると、静かな部屋にこほんと咳払いが響いた。

「水無瀬社長、楠木さんも突然ことで動揺しているようです。少し時間を置いて考えて頂いてはどうでしょうか」

 正樹の執り成しに、澄春が頷く。

「そうだな。では明日また返事を聞かせてくれ」

(明日? 考える時間短すぎるんですけど)

 そう思ったけれど、文句なんて言えるはずがない。

 千咲は高貴なオーラを醸し出すふたりに見送られて、社長室を出たのだった。

 プレッシャーから解放されると、千咲は頭を抱えた。

(どうしよう……)
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