第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 いや、そもそも交際すらあり得ないと思っていたのだ。

 社長室に呼ばれたのだって、相性がいいからといって水無瀬社長とどうこうなれる夢など見るなと、釘を刺されるのではないかと、びくびくしていた。

 それなのに、まさかの結婚しよう発言。

(もしかして、なにか試されてる? 私が社長に対して下心を持っていないか、反応を見て確認してるとか?)

 澄春の真意を探ろうと見つめてみたが完全な無表情。不安が募るだけで、彼が何を考えているのか、まるで分からなかった。

「楠木さんの意見は?」

 混乱の最中の千咲に対して、澄春は怖いほど冷静に問いかける。

(意見はって言われても!)

 彼が千咲と交際する可能性ですらゼロだと思っていたのに、全てを飛び越えて結婚するなんて言われても、驚きすぎて頭が上手く回らない。

 返事ができないでいると、澄春がなにかに気づいたように再び口を開いた。

「嫌なのか?」
「い、いえ、決して嫌という訳では……」

 千咲は慌てて弁解する。

「気が進まないならはっきり断っていい。無理強いをすつるもりはない」

 千咲はますます戸惑った。

 結婚しようと言いながら、嫌なら断っても構わないと言うなんて。

「あの……ただ、私なんかが社長の相手で問題はないのかと恐れ多くて」
< 18 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop