第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 何度も失恋をしていると、相手の気持ちが失われていく気配を察するのが上手くなる。
 駿介とは付き合って二か月だったが、半月前からデートをしていても、彼は上の空で千咲に対する関心を明らかに失っている様子だった。

(あの頃から別れるタイミングを計っていたんだろうな……)

 千咲も終わりの気配を察し、無意識に心構えをしていたのだと思う。だから、昨夜『俺たち、別れよう』とはっきり言われたときも取り乱さずに綺麗にさよならできた。

「そっか……千咲が大丈夫ならいいんだけど。でも結婚が難しくなったのは困ったね」
「うん。あまり時間が残っていないかもしれないから」

 浮かない表情で相槌を打った。

 千咲が結婚を望んでいるのは、それが入院中の祖母の願いだからだ。

 幼い頃に両親を事故で無くした千咲は、父方の祖父母に引き取られて育ててもらった。

 しかし祖父は五年前に亡くなり、今祖母が癌を患い入院中だ。

 自らの余命が残り少ないのを感じとった祖母は、千咲の先行きを深く心配するようになった。

『ちーちゃんには、早く結婚して家族をつくってほしいの。そうしたらおばあちゃんも安心できるからね』
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