第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 会社での澄春は人を寄せ付けないオーラを放ち、側近の大沢正樹以外と親しくしているのを見た覚えがないが、豊原凛華のような立場になると、それなりに交流があるのかもしれない。

(彼女は社長と直接やり取りできる立場だから)

 しかし、澄春の返事は予想とまったく違っていた。

「凛華とは昔からの知り合いで、正樹とも親しい」
「え? ……彼女とは入社前からの知り合いなんですか?」

 澄春が頷く。

「祖父の時代から家同士の付き合いがある」

 千咲は目を見開いた。

(と言うことは、幼馴染ってこと?)

 完全に予想外だった。ふたりは千咲が思ったよりもずっと深い関係だった。

(それじゃあ、豊原さんが澄春さんを狙っているって言われているのって……)

 単に憧れているだけではなく、もっと切実な恋心なのかもしれない。

 そう察した千咲は、澄春の様子を注意深く窺った。

 いつもの通り、冷静沈着で凛華の話題になっても変化がない。

(澄春さんは、全然意識していないみたいだけど……)

 ベストマリアージュが選んだというだけで、迷わず千咲との結婚を決めたくらいだ。

 澄春の方には恋愛感情が一切なさそうだ。

 今だって千咲サイドに立つ発言をしていた。

(それなら私も気にしないようにした方がいいのかな)
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