第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 彼にとっては責任感でそうしているのだろう。情があるわけではなく、義務のようなものだ。それでも守ってもらえるのは、やっぱりうれしいと思った。

「あ、ありがとうございます」

 千咲が少し照れて言うと、澄春は冷淡な表情で頷いた。

「明日の役員会議に豊原凛華も出席する。俺から話して解決した方がいいか?」

 凛華の件など澄春にとっては、些細で負担も感じない問題のようだ。淡々とした彼に千咲は首を横に振った。

「いえ、彼女からのアクションがない限りは関わらないようにしたいです」

 澄春が出ていったら、なぜ社長が介入するのか疑われて、余計に大きな揉め事になりそうだ。

「わかった」

 彼が千咲の気持ちを察したのかは分からないが、頷いてくれた。

「千咲が望まないなら口を出さない」
「はい」

 千咲は穏やかに微笑む。それで会話が終了したと思ったが、少しの沈黙の後に澄春が再び口を開いた。

「豊原凛華は元々の怒りっぽい性格だから、あまり気しないでいい」
「え? 澄春さんは彼女のことをよく知ってるんですか?」

(もしかしたら結構仲がいいのかな)
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