第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
(もしかしたら、優しいところがあるのかもしれない)

 澄春の表情はいつもと変わらず冷やかだ。けれど感謝の気持ちが大きいからか、彼に対する緊張を感じなかった。

 澄春はすぐに前島医師のアポイントを取ってくれた。

 週末、千咲は澄春と共に彼が勤務している私立病院を訪ねた。

 前島医師は五十代のベテラン。実際会うとネットの写真で見たよりも小柄で、柔和な印象を受けた。

「前島先生、忙しい中お時間を取っていただき、ありがとうございます」
「構いませんよ。水無瀬さんから、おばあさんを診てほしいと聞いています。カルテは持ってきましたか?」
「はい、こちらに」

 千咲はすぐに用意してきたカルテを渡し、今後の治療方針の打ち合わせをした。

その後、 澄春が祖母の転院に伴う移動手段の確保などを隙なく進めてくれた。完璧な手配で千咲の出番はないくらいだった。

 祖母の新しい病室は広い個室で、日当たりもよくとても過ごしやすそうだ。

「澄春くん、いろいろ気を遣ってくれてありがとうね。ちーちゃんも心配かけちゃったわね」
「大丈夫ですよ。面会時間が長くなったので、これからは千咲と一緒に、もっとお見舞いに来ます」

 澄春は祖母の話に根気よく付き合っている。
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