第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
「喧嘩に親が出てくるって何歳になったんだ?」
「その通りだよ。でも凛華の親は娘に甘いからな。あんなに我儘になったのは彼らのせいだ」
「……凛華がトラブルを起こさないように気をつけてくれ。千咲が困らないように」
「わかった。でもさっきの話だと、千咲さんも自ら面倒事に飛び込んでいくタイプみたいだな」
「彼女は優しい性格だ」

 凛華は千咲を偽善者だと言うが、澄春はそうは思わなかった。

 彼女は優しい。澄春など比較にはならないくらい情が深い人だ。

 大切な祖母の願いを叶える為なら、結婚できるほどに。

 祖母だけではなく、千咲は他人に対しても思いやりに溢れている。

 困っている人がいると手を差し伸べずにはいられない、自己犠牲を厭わない性格だ。いわゆるお人よしと言うものだろうか。

 先日、祖母の病院に行くためふたりで行動していたとこのことだった。

 自転車に乗った若い女性が落とし物をした。千咲はそれを見るとすぐに拾いに行き、既に走り去った自転車を追いかけ始めたのだ。

 通常なら追いつくはずがないが、千咲は大声で「そこの自転車に乗ったお姉さん!」と声を上げてなんとか呼び止めることに成功していた。

 かなりの注目を浴びていたが、本人は少しも気にした様子がなかった。
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