第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 しかしこの環境にもずいぶん慣れたため、会場内の見て回る余裕がある。

 正樹から壁際に並ぶテーブル上の料理やデザートを食べて言いと聞いているので、少しお腹に入れようと近づいた。

(美味しそう!)

 テーブルに並ぶ料理は一般的なビュッフェとは一線を画していた。フレンチから中華まで様々な料理が美しく盛り付けられている。デザートに関しては信じられないくらい繊細で美しい一口サイズのケーキがずらりと並んでいた。

(これは全制覇しないと気がすまないやつ!)

 しかし千咲はぐっと堪えた。

 今自分は未だかつてないほどの注目を浴びているのだ。ケーキの誘惑に負けがつがつして、澄春に恥をかかせる訳にはいかない。
 ぐっと我慢をして、慣れない社交に勤しんでいると、目の前にふっと影が差した。

 招待客のグループが挨拶に来たのだと思い、笑顔をつくり顔を上げる。しかしそこに居たのは開発設計部長の豊原凛華だった。

 豪奢な赤いドレスを身にまとった彼女は女王のような貫録で佇んでいた。後ろには同年代の女性をふたり連れている。なんとなく見覚えがあるから、アローフォワードの社員かもしれない。

 凛華を見て真っ先に浮かんだのは、先日のトラブルだ。カフェラテをかけてしまって、彼女の高級な服を汚してしまった。
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