第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
(嫌なら構わず無視してくれたらいいのに)

 嫌いな相手にわざわざ近づいてくるなんて、自ら不快な思いをするようなものではないか。

 凛華たちの行動が、千咲には理解できない。

 とはいえお祝いの席で問題を起こす訳にはいかない。

 千咲は適当に相槌を打って、不愉快な時間をやり過ごそうとする。

「ところで本当に入籍しているの?」

 同僚女性の質問に、千咲は戸惑い首を傾げた。

「ほら、そもそも社長の結婚はベストマリアージュの宣伝の為でしょう? 偽装結婚とか契約結婚の可能性もあるかと思って」

 もうひとりの同僚が補足すると。凛華がふっと口角を上げた。

「たしかに澄春なら、マリッジリングの代わりに契約書を渡しそうね」
「それ! 想像できますね~」

 凛華たちが楽しそうに盛り上がっている。どこまでも千咲の結婚を貶めたいのだろう。

(なんて失礼な)

 澄春のことまで揶揄われたような気がして、千咲は黙っていられなくなった。

「あの、普通に婚姻届けを出していますし、指輪もいただきました」
「え?」

 怪訝な表情を浮かべる凛華の前に、膝の上に置いていた左手を出す。

 千咲の薬指でシンプルながらも最高級のダイヤモンドをあしらったリングが輝いている。

 凛華の顔色が暗く沈んだ。
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