恋煩いの処方箋
モニターに映るのは杉崎さんで、「はーい」と返事をして玄関へ降りていく。
「どうしました?」
この前、気まずい感じで別れてしまったからどんな顔をしたらいいのか迷う。しかし、私の悩みとは裏腹に杉崎さんは普段通りだ。ホッと胸を撫で下ろす。
「こんばんは。急に来てすみません。実家で採れた野菜、持ってきました」
杉崎さんの実家は大きな米農家。空いた土地で野菜も作っているらしく、たまにこうしてお裾分けをくれる。
「ありがとうございます。わー、こんなに沢山いいんですか?」
「もちろんです。ところで、のんちゃんの様子はどうですか?」
「はい、だいぶ元気になりました。月曜日から出勤する予定です。杉崎さんにはいろいろとお世話になって、本当にありがとうございました」
丁寧に頭を下げる。すると、恐縮するように「いやいや」と手のひらをパタパタさせた。
「俺はいつでも暇なんで、もっと頼ってくれても構いませんよ」
口調は軽いが本心から言ってくれているのが分かる。
「ありがとうございます。でも、甘えないようにしないと!」
自戒を込めていった。すると突然、杉崎さんの表情が険しくなる。
「あの人、来てるんですか?」
視線の先には玄関のたたきに置いてある男物の靴。大和のものだ。部屋の方から和花と大和の笑い声が聞こえてくる。誤魔化すことはできない。