恋煩いの処方箋
「会ってほしい人がいるの」
私がそう伝えた時、父も母も何かを悟ったような顔でいつ連れてくるのかと聞く。それで今週末ということになって、今日がその日だ。朝、ネイビーのスーツを着た大和が迎えに来ると、和花はほんの少し緊張した様子で後部座席に座る。
「今日は大和くんもばぁばのお家に行くんでしょ?」
「そうだよ。ごあいさつに行くんだ」
ミラー越しに和花に伝える。
「ごあいさつ? なんでー? ねぇ、ママなんで大和くんがごあいさつするの?」
和花は私に聞いてくる。事前に話すべきかそれとも話さずにいるべきか、ぐるぐると考えていると大和がさらりと答える。
「のんちゃんにはパパになりたいって伝えたけど、じいじとばぁばには話してなかっただろ? だから、今日はそのごあいさつ。わかった?」
「わかった!」
和花は元気よく頷く。実家に着くと、いち早く車を降りて玄関へと向かいようやく届くようになったインターフォンを押す。
「はーい」と母の声が聞こえて、すぐに玄関のドアが開く。
「ばぁば、きたよー」
「あら、のんちゃんいらっしゃい。亜子も、大和くんも……」
母は和花を抱き上げる。後ろから父も出てくる。そして大和の姿をみつけると表情を強張らせた。
「おじさん、おばさん。たいへんごぶさたしております」
大和はそう言って腰を折って一礼する。私も隣でペコンと会釈をする。実家に帰ってきただけなのに、緊張感に戸惑う。
「よく来たね、大和くん。さあ、入りなさい」
父に促されて家の中へ入る。母は和花においしいオヤツがあるからと言ってキッチンへ連れて行ってくれた。私たちは和室の応接間で父と向かい合って座る。ふたりの間にヒリヒリとした空気を感じる。
「本日はお時間を作っていただいてありがとうございます。本来ならもっと早くごあいさつに伺うべきところ、大変遅くなり申し訳ございません」
正座の状態で額が畳に付くほどに深く頭を下げた。
私がそう伝えた時、父も母も何かを悟ったような顔でいつ連れてくるのかと聞く。それで今週末ということになって、今日がその日だ。朝、ネイビーのスーツを着た大和が迎えに来ると、和花はほんの少し緊張した様子で後部座席に座る。
「今日は大和くんもばぁばのお家に行くんでしょ?」
「そうだよ。ごあいさつに行くんだ」
ミラー越しに和花に伝える。
「ごあいさつ? なんでー? ねぇ、ママなんで大和くんがごあいさつするの?」
和花は私に聞いてくる。事前に話すべきかそれとも話さずにいるべきか、ぐるぐると考えていると大和がさらりと答える。
「のんちゃんにはパパになりたいって伝えたけど、じいじとばぁばには話してなかっただろ? だから、今日はそのごあいさつ。わかった?」
「わかった!」
和花は元気よく頷く。実家に着くと、いち早く車を降りて玄関へと向かいようやく届くようになったインターフォンを押す。
「はーい」と母の声が聞こえて、すぐに玄関のドアが開く。
「ばぁば、きたよー」
「あら、のんちゃんいらっしゃい。亜子も、大和くんも……」
母は和花を抱き上げる。後ろから父も出てくる。そして大和の姿をみつけると表情を強張らせた。
「おじさん、おばさん。たいへんごぶさたしております」
大和はそう言って腰を折って一礼する。私も隣でペコンと会釈をする。実家に帰ってきただけなのに、緊張感に戸惑う。
「よく来たね、大和くん。さあ、入りなさい」
父に促されて家の中へ入る。母は和花においしいオヤツがあるからと言ってキッチンへ連れて行ってくれた。私たちは和室の応接間で父と向かい合って座る。ふたりの間にヒリヒリとした空気を感じる。
「本日はお時間を作っていただいてありがとうございます。本来ならもっと早くごあいさつに伺うべきところ、大変遅くなり申し訳ございません」
正座の状態で額が畳に付くほどに深く頭を下げた。