恋煩いの処方箋
エピローグ
エピローグ

 澄んだ青い空の下に鳥居の朱が映え、秋の気配がより濃くなっているのを感じる。着物に日本髪の和花が早く早くと急かす。私は慣れない和服姿で神社の石段を登っていく。
「ママ遅すぎ! パパの方が早いよ」
 そりゃ、大和はスーツに革靴だもの……と愚痴りたくなるのを堪えて上がった息を整える。私と大和が籍を入れ晴れて夫婦となってから和花は大和のことをパパと呼ぶようになった。彼女なりの区切りのようなものが必要だったのだろうと思った。
 今日は娘の七五三だ。お参りをしてから食事会の予定になっている。お互いの両親もそってお祝いに駆け付けてくれた。のんびりと石段を上がってくる。
「ちょっと待ってよ、のん」
撮影のために依頼したカメラマンは重いカメラを構えてパシャパシャとシャッターを切る。どうせならもっと余裕がある時に撮って欲しいものだ。
 
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