恋煩いの処方箋
2.再会とハンバーグ
2.再会とハンバーグ
あれから結局、三日も休暇を取ってしまった。子の看護休暇という制度は九歳まで使えるようになり、とても助かっている。私のような働く母親は特に。
和花は問題なく過ごしている。固定用のバンドが煩わしいようで外したがっているのだけれど、先生と約束したからと言うと大人しくなった。勝手に大和のことを利用しているみたいで心苦しくもあるが、『お医者さんの言うこと』は子供にも有効らしい。
ちょうど土日に被ったので、リハビリがてら近所のスーパーへ出かける。冷蔵庫が空なららかけていたのでカゴいっぱいに食品を買い込む。
「あ、先生だ!」
袋詰めをしていると、突然和花が走り出す。
「ちょとのんちゃん、だめ、待って!」
すぐ声を掛けたが、時すでに遅し。あっという間に姿が見えなくなってしまった。仕方なく、カゴを放置したまま和花を探しに行く。商品より、和花の命の方が大切だ。
「どこ行ったんだろ」
そう広くない地元のスーパー。見つかるだろうとは思っていた。案の定、和花はすぐに戻ってくる。なんと、大和に抱き上げられて。
(先生って、大和のことだったの……)
てっきり保育園の遠藤先生かと思っていた。だから、動揺が隠し切れない。
「ほら、和花ちゃんママが心配してるよ」
「ごめんね、ママ」
同じ顔が私を見ている。並べたら本当にそっくりで、我が子が誰の遺伝子を引き継いでいるのか思い知らされる。
「のんちゃん、袋詰めして帰るよ」
こっちにおいでと手を広げると、プイと顔を背ける。
「いや!先生とお買い物するの! ハンバーグ作るんだって。のん、ハンバーグ大好き」
この間作ったらあまり食べなかったくせに、なにを言い出すのだろうこの子は。
「なに言ってるの、迷惑だよ! 先生は忙しいの。病院のお仕事があるの!」
どうにか説得しようと試みる。それなのに大和は呑気に言った。
「いや、今日は休みだから暇だよ」
「ちょ……」
なにを言い出すのだろうと、呆気に取られる。
こう言う時は、嘘でも「忙しい」と言ってくれないと和花を納得させられないじゃないか。
「和花ちゃん、先生と一緒にハンバーグ作るかい?」
「つくるー!」
和花はとびきりの笑顔を見せた。ここ数日塞ぎ込んでいたからホッとしたけれど、そのきっかけが大和だなんて喜んでいいのか分からなくなる。
「と言うわけだから、いい? あ、もちろん亜子も一緒にどうぞ」
まるでついでのように言われて、苦笑いする。和花はこう見えて人見知りで、杉崎さんにすら懐くのに一年以上もかかった。でも、大和とは一瞬で打ち解けてしまうんだから敵わない。
カゴの中身を袋に詰めている間、和花は大和に付いて店を回った。
「荷物を置きに家に帰ろうと思うんだけど」
肉や魚、冷凍食品まで買ってしまったからアパートへ戻りたい。
「のんちゃん」と和花を呼ぶと連れ帰られると思ったのか大和から離れようとせず「先生も来て」と譲らない。
結局、大和が私のアパートへ来ることで話はまとまった。
あれから結局、三日も休暇を取ってしまった。子の看護休暇という制度は九歳まで使えるようになり、とても助かっている。私のような働く母親は特に。
和花は問題なく過ごしている。固定用のバンドが煩わしいようで外したがっているのだけれど、先生と約束したからと言うと大人しくなった。勝手に大和のことを利用しているみたいで心苦しくもあるが、『お医者さんの言うこと』は子供にも有効らしい。
ちょうど土日に被ったので、リハビリがてら近所のスーパーへ出かける。冷蔵庫が空なららかけていたのでカゴいっぱいに食品を買い込む。
「あ、先生だ!」
袋詰めをしていると、突然和花が走り出す。
「ちょとのんちゃん、だめ、待って!」
すぐ声を掛けたが、時すでに遅し。あっという間に姿が見えなくなってしまった。仕方なく、カゴを放置したまま和花を探しに行く。商品より、和花の命の方が大切だ。
「どこ行ったんだろ」
そう広くない地元のスーパー。見つかるだろうとは思っていた。案の定、和花はすぐに戻ってくる。なんと、大和に抱き上げられて。
(先生って、大和のことだったの……)
てっきり保育園の遠藤先生かと思っていた。だから、動揺が隠し切れない。
「ほら、和花ちゃんママが心配してるよ」
「ごめんね、ママ」
同じ顔が私を見ている。並べたら本当にそっくりで、我が子が誰の遺伝子を引き継いでいるのか思い知らされる。
「のんちゃん、袋詰めして帰るよ」
こっちにおいでと手を広げると、プイと顔を背ける。
「いや!先生とお買い物するの! ハンバーグ作るんだって。のん、ハンバーグ大好き」
この間作ったらあまり食べなかったくせに、なにを言い出すのだろうこの子は。
「なに言ってるの、迷惑だよ! 先生は忙しいの。病院のお仕事があるの!」
どうにか説得しようと試みる。それなのに大和は呑気に言った。
「いや、今日は休みだから暇だよ」
「ちょ……」
なにを言い出すのだろうと、呆気に取られる。
こう言う時は、嘘でも「忙しい」と言ってくれないと和花を納得させられないじゃないか。
「和花ちゃん、先生と一緒にハンバーグ作るかい?」
「つくるー!」
和花はとびきりの笑顔を見せた。ここ数日塞ぎ込んでいたからホッとしたけれど、そのきっかけが大和だなんて喜んでいいのか分からなくなる。
「と言うわけだから、いい? あ、もちろん亜子も一緒にどうぞ」
まるでついでのように言われて、苦笑いする。和花はこう見えて人見知りで、杉崎さんにすら懐くのに一年以上もかかった。でも、大和とは一瞬で打ち解けてしまうんだから敵わない。
カゴの中身を袋に詰めている間、和花は大和に付いて店を回った。
「荷物を置きに家に帰ろうと思うんだけど」
肉や魚、冷凍食品まで買ってしまったからアパートへ戻りたい。
「のんちゃん」と和花を呼ぶと連れ帰られると思ったのか大和から離れようとせず「先生も来て」と譲らない。
結局、大和が私のアパートへ来ることで話はまとまった。