絵画にキスした男

「りょーくんは好きな人とか、いないの?」
「えっ……な、なんですか急に」
「私の愛するりょーくんは、愛する人を見つけちゃったのかなーってね」


 そうやって今度は眉を垂らしながら微笑まれて、一体僕の心臓を何回困らせれば気が済むのだか。


「簡単にそういうこと言わない方がいいですよ。僕みたいなやつに勘違いされたら、大変でしょ」
「あはは、勘違いしてくれるの?なら都合がいいかも」

 なんで、なんで……ほらまた僕の視線を釘付けにする。毎日見ているあなたなのに、いつまで経っても、13年経っても。頭の先から足の爪の先まで、あなたの虜だ。


「だってさ、私——」


 先輩の美しい声が騒音と共に消えた。
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