絵画にキスした男
今日もぼんやり支度をしながら、家を出た。
空はこんなに晴れてるのに、僕の心はずーっと曇っている。
「……あれ?りょーくん?」
「え……?せ、せせせ、先輩!?」
「あははっ、びっくりしすぎじゃない?今日も会ったね」
“今日も”というのは、僕が毎日先輩に会えるように、時間を調節して家を出るからだ。
夢オチで終わらないのは、この先輩と僕は本当に幼なじみというところ。
「りょーくんまた背が伸びたんじゃない?どんどん差が開いてくね」
「成長期ですからね」
「背が高いのもカッコいいね〜」
呑気にそんなこと言う先輩にまた一つ、心を奪われてしまう。
「先輩は、背が高い人が好きなんですか?」
「うーん特にこだわりはないかな。好きになった人が好きだし」
君が好きだなんて、甘い単語を聞けたら僕はそれだけで500年と生きれるような気がするのに。