天邪鬼な私に、宣戦布告されました

めんどくさいイケメン

「今から修学旅行の行動班を決めます。
まず、男子三人、女子三人でグループを作って。
それから、男女合わせて六人班にしましょう」

高校二年の一大イベント、修学旅行。
この学校は、毎年沖縄に行っている。

海! 夏! 南国ー!

……でも、行くのは五月なのよね。
沖縄は五月でも海に入れるらしいけど、ガチで泳ぐ、ってほどでは多分ない。

いや、そもそも。
ガチで泳ぎたいと思ってるの、私だけかもしれないけど……。

ガフッ。

上半身に衝撃が走った。

由乃が、私の首に巻きついている。

「はい、はい、由乃。離れようね」

いつも冷静な澪が、ベリっと私から由乃を引き剥がす。

三人でグループを作るとなったら、もちろんこのメンバーになる。
そして――。

「由乃。一緒に組もう」

(そうなりますよねー)

前から男子三人が、私の席に向かって歩いてきた。

満面の笑みを浮かべているのは、恒一。
その後ろに晴人。
そして、とってもめんどくさそうな顔の颯斗がいる。

(ありがとう、由乃!)

由乃の彼氏である恒一と、晴人、颯斗は仲がいい。

ポーカーフェイスを決め込んでいる私。
でも内心は、颯斗と同じ班になれたことが嬉しくて、踊り出しそうなくらいだ。

「班ができたら、この紙に名前を書いてください。それと、班長と副班長も決めてね」

担任が教卓にプリントを置いた。

「俺、取ってくるよ」

さすが晴人。気が利く男子。

みんなが私の席に集まっているので、筆記用具を出して待つ。
うん。私も気が利く女子。

「じゃあ、誰が班長やる?」
「ラブラブな二人でやったら?」
「ダメだよ。由乃に任せたら、みんな迷子になるだけでしょ」

結局、無難に晴人が班長。
副班長は、冷静沈着な澪で落ち着いた。

シャーペンを取り出して、晴人に渡す。

班長の晴人、副班長の澪が名前を書き、
由乃、そして私へとシャーペンが回ってくる。

桜庭(さくらば) 沙彩

自分の名前を書いてから、シャーペンをそっと颯斗に渡した。

「チッ」

舌打ちひとつ。

煩わしそうに受け取ると、颯斗は名前を書き、ぶっきらぼうに恒一へと渡した。

(おー、いいねぇ。この空気を多少悪くするようなこの態度)

私たちはみんな、こういう颯斗にすっかり慣れている。

だから何事もなかったかのようにスルーするけど、
もし仲良くない人がこの場にいたら、きっとちょっと引いていたと思う。

顔だけ見れば完璧なのに、中身はこれ。
ほんと、めんどくさい男だ。

……そこが、いいんだけど。
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