天邪鬼な私は、人気者の彼が苦手です
「美味しい」

無事に買えたロングポテトを片手に、目的もなく歩く。
人混みのざわめきに紛れて、自分の気持ちも曖昧になる。

次のポテトを取ろうと視線を落とした、その時。

ドンッ

前から来た人と肩がぶつかった。

「すみません」

反射的に頭を下げる。

――ガシッ

次の瞬間、手首を掴まれた。

「え……?」

見上げると颯斗。

そのまま屋台の隙間を縫うように歩き出し、夏祭りの人波から外れていく。

「な、何、どうしたの?」

驚いて問いかけると、振り返りもせずに言った。

「そこ、公園あるから。座って食おう」
< 53 / 69 >

この作品をシェア

pagetop