幼馴染への三度目の失恋を回避したい 〜激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。〜【完結】
番外編

小さい頃、二人で遊んだ陽だまりの部屋で。

 高校二年、秋も深まり始めた頃の話。

「じゃあ、行ってくるね」
「んー」

 中間テストを終えたばかりの週末。
 部活も休みで久しぶりに朝寝坊を満喫し、まだ少し頭がぼーっとしている僕は、普段とは違うよそ行きの服を着た両親を玄関で見送った。

 今日は母さんの誕生日で、夫婦二人で少し遠出をして、港町にある有名ホテルの上層階での食事や、繁華街の散策を楽しむらしい。
 さっきまで「服が決まらない」だの「俺はこれでいいのか」だのと若干の痴話喧嘩を繰り広げていた二人だが、なんとか無事に出発していった。

 ――ガチャン。

 ドアが閉まると、家の中には静寂だけが残った。

 弟も昨日から修学旅行に出かけているため、今日この家には僕しかいない。

 腹が減ったので、少し早いが朝昼兼用の食事をとろうと、食パンとヨーグルトだけをテーブルへ無造作に並べた。

 テレビのニュース番組をぼーっと眺めながら、それらを口に運ぶ。

 両親のくだらない小競り合いを思い出し、ふと考える。
 めぐみと付き合って一年以上経つが、僕たちはあんな風に喧嘩をしたことがない。
 めぐみは元々穏やかだし。
 僕がたまに、彼女がクラスの男子と仲良さそうにしているのを見て、「……ちょっと喋りすぎじゃね?」と理不尽なクレームを入れたりすることはあるが。
 めぐみはいつもすぐに「えっ! ごめん……」とシュンと反省するので、喧嘩にすらならないのだ。

 それに、かなりオープンに付き合っているからか、二人とも他の異性からアプローチされるようなこともなく、平和な日々が続いている。


 そんなめぐみからは今朝、『部活行ってくる!』とメッセージがきていたが、それが午前中で終わるのか、一日練なのかを聞きそびれていた。

 午前中までならそろそろ終わっている時間だろうが、まだスマホに通知はない。
 今日は一日暇なのだから、事前に予定を確認しておけばよかったなと、少し後悔していた。
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