幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。
光の中で響く切なげな声。誰かを想うその姿に、息ができないほど苦しい

第28話

 そして――夕方を迎えた。

 葵とともに体育館に足を踏み入れると、ステージは軽音部のライブ用に本格的な照明や装飾が施され、たくさんの機材が所狭しと置かれていた。

 ちょうど、ひとつ前のバンドの演奏が始まったばかりのようだ。

「おおーっ! マジでライブ会場みてえ!」

 同じタイミングでやってきたクラスの男子たちは、熱気に当てられテンションが上がっている。

『真ん中あたりで観て』

 昨日、夕暮れの空き教室で、真剣な瞳のなっちゃんにそう言われた。
 私はその通り、マイクスタンドが正面に見える位置に、葵と並んで立った。

 今、ステージで歌っている女性ボーカルの先輩は、ノリのよいリズミカルな応援ソングを歌っている。

「私、この曲好き」

 重低音の響く中、葵が耳元で話しかけてきた。

「私もっ!」

 葵に聞こえるよう、大声で返した。

 リズムに乗る、周囲の生徒たち。
 本当は私も、そうやって楽しみたいのだけれど――。
 なっちゃんの出番が間近に迫っていると思うと、なぜか緊張が込み上げてきて、身体がうまく動かなかった。
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