幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。
◇
数曲を連続で歌い終えたなっちゃんは、トイレか何かで部屋を出ていった。
すかさず、ノリのいい学級委員の男子がマイクを奪い、みんなで合いの手を入れられる定番の「男子の失恋ソング」を入れた。
部屋はさらなるカオスと熱狂に包まれる。
数分後、なっちゃんが席に戻ったのが見えた。
しばらくは、外に行かないだろう。
つまり、今なら廊下で鉢合わせずに済むはずだ。
このタイミングを見計らって、「ジュースのおかわり行ってくるね」と立ち上がると、葵のコップも空になっているのに気づいた。
「取ってきてあげる! 何がいい?」
「ありがと。じゃあコーラ」
「オッケー」
私は空のコップを二つ持ち、重い防音扉を開けた。
廊下に出ると、中の狂ったような喧騒が嘘のように静かだ。
他のボックスから微かに歌声が漏れてくるものの、それも遠くに感じられ、空調がよく効いているせいで一気に肌寒さを覚えた。
突き当たりにあるドリンクバーのコーナーにたどり着く。
私のメロンソーダ、隣の機械で葵のコーラを注ぎ終わり、振り返ったときだった。
「…………!!」
こちらに向かって、早足で歩いてくる人影に気づいた。
――なっちゃんだ。
(えっ、なんで!? 戻ってきたばっかりだったのに! タイミングずらしたのに!)
ここは廊下の端。行き止まりで、逃げ場がない。
おまけに私は両手に並々と注がれたジュースを持っているため、走って逃げることもできない。
あたふたとしている間に、なっちゃんは私の目の前まで迫ってきた。
「……ちょっと来て」
「えっ」
有無を言わさぬ低い声。
なっちゃんは、コップを持った私の両手首をそっと、けれど逃げられない強さで掴むと、廊下からは死角になる非常階段の踊り場へと引っ張っていった。
数曲を連続で歌い終えたなっちゃんは、トイレか何かで部屋を出ていった。
すかさず、ノリのいい学級委員の男子がマイクを奪い、みんなで合いの手を入れられる定番の「男子の失恋ソング」を入れた。
部屋はさらなるカオスと熱狂に包まれる。
数分後、なっちゃんが席に戻ったのが見えた。
しばらくは、外に行かないだろう。
つまり、今なら廊下で鉢合わせずに済むはずだ。
このタイミングを見計らって、「ジュースのおかわり行ってくるね」と立ち上がると、葵のコップも空になっているのに気づいた。
「取ってきてあげる! 何がいい?」
「ありがと。じゃあコーラ」
「オッケー」
私は空のコップを二つ持ち、重い防音扉を開けた。
廊下に出ると、中の狂ったような喧騒が嘘のように静かだ。
他のボックスから微かに歌声が漏れてくるものの、それも遠くに感じられ、空調がよく効いているせいで一気に肌寒さを覚えた。
突き当たりにあるドリンクバーのコーナーにたどり着く。
私のメロンソーダ、隣の機械で葵のコーラを注ぎ終わり、振り返ったときだった。
「…………!!」
こちらに向かって、早足で歩いてくる人影に気づいた。
――なっちゃんだ。
(えっ、なんで!? 戻ってきたばっかりだったのに! タイミングずらしたのに!)
ここは廊下の端。行き止まりで、逃げ場がない。
おまけに私は両手に並々と注がれたジュースを持っているため、走って逃げることもできない。
あたふたとしている間に、なっちゃんは私の目の前まで迫ってきた。
「……ちょっと来て」
「えっ」
有無を言わさぬ低い声。
なっちゃんは、コップを持った私の両手首をそっと、けれど逃げられない強さで掴むと、廊下からは死角になる非常階段の踊り場へと引っ張っていった。