幼馴染への三度目の失恋を回避したい 〜激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。〜【完結】

第42話

『ちょっと、口が悪いところもあるけどね』

 今朝、廊下で由利さんから聞いたその言葉が、頭から離れなかった。

 なっちゃんが素顔を見せているのは、私だけじゃなかったんだ。
 以前、彼は『俺が素を見せてるのは、めぐが特別だから』みたいなことを言ってくれた。
 それなら由利さんも、なっちゃんにとって『特別』な存在なのかな。

 私に向けるのと同じような気の抜けた顔で、由利さんに笑いかけている彼の姿を想像してしまう。

「自分の今の気持ちを伝えよう」と意気込んでいた決意が、萎んだ風船のようにシューッと音を立ててしぼんでいくのがわかった。

 ◇

「今日も部活、遅くまである?」

 休み時間、なっちゃんが私の席までやってきて話しかけてきたが、彼の目を真っ直ぐに見ることができなかった。

 なっちゃんが自分の席に戻っていった後。
 一緒にいた葵が、両手で頬杖をつきながら私の顔をじっと見て、口を開いた。

「……めぐってさあ」

「うん?」

 私が聞き返すと、「……いや。そういえばテストのあの解答って……」と、この前返却された期末テストの話題を振ってきた。

 何か言いたげな顔をしていたような気がしたのだけれど。
< 84 / 121 >

この作品をシェア

pagetop