超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました
「テオドール様! ルイスがいません!」
「なに!?」
部屋に飛び込んで来たのは、塔でルイスの見張りをしていたグレイヴン家の私兵だ。
テオドールはすぐに立ち上がり、兵士と共に走り出す。
シャルロットも後をついていく。
(こんなこともあろうかと、ヒールの低いブーツを履いといてよかったわ!)
昨夜、気が利かないテオドールにハイヒールで歩かされたシャルロットは、用意された靴の中で歩きやすいブーツを選んでいたのだ。
そのお陰で、歩くことが速いテオドールに少し遅れを取りながらも、塔に到着した。
開け放たれた窓の縁に、外に向かう足跡がひとつ。
窓のすぐ外には立派な樹。
恐らく、この樹に飛び移って滑り降りたのだろう。
「テオドール様、申し訳ありません!」
兵士がテオドールに頭を下げる。
「そうか、庭師だから高所はお手のものか。そこまで考えが及ばなかった私のミスだから、不問に処す。近辺を見回りに行き、もしルイスを発見したら捕らえろ」