超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました
「ノイエ家がミュラー侯爵をバエルのことで脅していたら、見せしめに君が拐われて殺されていた」
「!」
「6年前は私もまだ未成年だったし、そもそも犯罪を取り締まる正式機関が発足されたのも最近だから、どうしようもなかった」
「はい……」

まだ浮かない顔をするシャルロットに、テオドールは話を続ける。

「君が視て、知識面は私が担当すれば良い。各々できることは違うのだから」
「私……絵を学びたいです。視えたものを、より正確に描けるようになりたい」
「ああ、そこに力を入れることは正しいな。欲しい画材や絵の教師は私が手配す……る……」
「テオドール様!?」

ソファーに横たわったテオドールは、話の途中で眠り始めた。

(きっとミュラー侯爵を捕まえるために寝ずに頑張ったのね……)

シャルロットは眠るテオドールの顔を見つめる。
物事を観察する切れ長の瞳が閉じられているので、普段の鋭い印象が和らぐ。

テオドールが眠りながら少し身動ぎし、モノクル眼鏡が少しズレた。
シャルロットは手を伸ばしかけて、ハッと我に返る。

(危ない! うっかり触れるところだったーー)

立ち上がったシャルロットは執務室を出て、執事長を呼んだ。
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