超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました

「やあ!」

にこにこと朗らかな笑みを浮かべて現れたのは、ユーリ。

「二日連続で来て……暇なのか?」

テオドールがラズベリータルトを齧りながらにべもなく言うと、ユーリは「キミ達の報告のために来たのに!」と口を尖らせた。

「昨日の夜会でテオの結婚について聞かれたから、ちゃーんと伝えといたよ! お喋りなトレーズ侯爵夫人にも話したから、もう社交界の隅々まで知れ渡っただろうね」

ユーリはテオドールの横の椅子に腰を下ろした。

「……そうか、ご苦労」
「ユーリ様、ありがとうございます」
「テオこそお疲れ。まさか僕が夜会に行ってる間に大捕物があったとはね! 今夜の夜会の話題はそれ一色だろうなあ」

"それ"とはミュラー侯爵が悪魔崇拝者で、誘拐した平民の子供を生け贄として殺害しようとしていたところを、テオドールに現行犯逮捕された事件のことだ。

サバトにはミュラー侯爵の他にも、伯爵令息・男爵家当主・子爵夫人など貴族が何人も参加していたことも、社交界を騒がせるだろう。

「テオは働きすぎだよ。ちょっと休んだ方が良いんじゃない?」
「国王陛下にも言われた。良い機会なので、明日からシャルロットを連れて父上のところへ行く」
「えっ!?」
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