太陽と狐は「」をする
 世間一般的に見て、灯はかなり裕福な立場にいると言えるだろう。
 栄養バランスが整い、毒味も済まされ、旬の食材もふんだんに使われた食事。
 広々としている大浴場だけでなく、最高級のケア製品やスキンケア用品をたった一人で扱うことのできる入浴。
 ふわふわで、どんなに疲れていてもすぐに寝られる寝具。
 最高級の家庭教師をつけられ、家から出ずとも最高峰の授業を、それもマンツーマンで教えてもらえる。

 普通の人だったら、正に憧れだろう。

 ただ、灯はそうは思わない。

 常に親族からマナーに関する厳しい視線に晒され、まともに味を味わうことすらできない食事。
 大勢の使用人に見られ、途方もないほど大量のスキンケアを正しい順序で使わなければならない、一切休まらない入浴。
 起床から就寝まで時間を指定され、時間通りに生きればプライベートな時間などありもしない生活。
 学校に行くこともなく、必要な学のみを入れることに専念された教育。

 それから感じ取られるのは、正に周りからの期待と願望。それを完璧に遂行しなければならなかった。

 でも優秀な成績を収めても周りの人が言うのは『流石神子様!』

 これは神子だからなんかじゃないのに。
 努力をした結果なのに。
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