『不倫してた女ですが、泣いてもいいですか?』
5 ◇悔し涙
私が彼を強く責めると──
「そういうことだよ。お前だけじゃないってこと。
その場の雰囲気ってあるだろ?
流れでいろいろを言ってたかもしんないけど……。
もういいだろ、そ──いうことだよ。遊びだよ、遊び。 みんな遊びじゃん。
お前だってそうだろ? だって俺、既婚者じゃん。なんで結婚できると思ってんの?」
私と彼の痴話喧嘩に……
「ちょっとぉ~、なに浮気相手のあんたがこの人と痴話喧嘩するわけ?
おかしいでしょ」
奥さんのそんなあきれた言葉が耳に届いたけれど、私だって彼を責めずには
いられないわよ。だって騙されてたんだよ。
私たちの痴話喧嘩を責めたあと、続けて奥さんが言った。
「やっと認めたわね。
離婚だからね、分かってる?
このあとのことは、ちゃんと大人の対応してくださいね」
「……離婚はしなくていいじゃんか。これとそれとは話が別だろ」
「なに馬鹿なこと言ってるの。
私の両親にもあなたの両親にも、報告します。
そして慰謝料を払ってもらいます。
女を──妻を──舐めんじゃねぇ」
離婚を宣言した男前な奥さんがこの場を去ろうとすると、彼は追いかけて
『離婚だけは許してほしい』と懇願した。
えっ?
なに、この急展開……。
私は一体何を見せられているの?
訳、分かんない。
私は奥さんと奥さんのあとを追いかけて行った岡島くんを見ていた。
その場に独り、取り残された自分。
ふたりの姿が視界から消えると、私もまた駅に向かう。
◇ ◇ ◇ ◇
駅までの道、悲しみと絶望感に襲われる。
😭悔し涙が、あとからあとから出てくる。
奥さんは、岡島くんの酷い裏切りに今日泣かなかった。
強い意志で、夫である彼にケジメをつけた。
奥さんもまた、今回彼にケジメをつけに来るまでの日々泣いたのだろうか?
ただの遊び相手にされた愛人の自分が、悔し涙を流すなんて許されない
ことですか?
『不倫相手だって、泣いてもいいですか?』
宮本茜は、きらびやかなネオンに彩られた夜の繁華街を──
胸の奥に沈む悲しみを抱え、涙で霞んで見える景色を潜り抜けながら静かに
通り抜けていった。
――――――― お し ま い ―――――――
私が彼を強く責めると──
「そういうことだよ。お前だけじゃないってこと。
その場の雰囲気ってあるだろ?
流れでいろいろを言ってたかもしんないけど……。
もういいだろ、そ──いうことだよ。遊びだよ、遊び。 みんな遊びじゃん。
お前だってそうだろ? だって俺、既婚者じゃん。なんで結婚できると思ってんの?」
私と彼の痴話喧嘩に……
「ちょっとぉ~、なに浮気相手のあんたがこの人と痴話喧嘩するわけ?
おかしいでしょ」
奥さんのそんなあきれた言葉が耳に届いたけれど、私だって彼を責めずには
いられないわよ。だって騙されてたんだよ。
私たちの痴話喧嘩を責めたあと、続けて奥さんが言った。
「やっと認めたわね。
離婚だからね、分かってる?
このあとのことは、ちゃんと大人の対応してくださいね」
「……離婚はしなくていいじゃんか。これとそれとは話が別だろ」
「なに馬鹿なこと言ってるの。
私の両親にもあなたの両親にも、報告します。
そして慰謝料を払ってもらいます。
女を──妻を──舐めんじゃねぇ」
離婚を宣言した男前な奥さんがこの場を去ろうとすると、彼は追いかけて
『離婚だけは許してほしい』と懇願した。
えっ?
なに、この急展開……。
私は一体何を見せられているの?
訳、分かんない。
私は奥さんと奥さんのあとを追いかけて行った岡島くんを見ていた。
その場に独り、取り残された自分。
ふたりの姿が視界から消えると、私もまた駅に向かう。
◇ ◇ ◇ ◇
駅までの道、悲しみと絶望感に襲われる。
😭悔し涙が、あとからあとから出てくる。
奥さんは、岡島くんの酷い裏切りに今日泣かなかった。
強い意志で、夫である彼にケジメをつけた。
奥さんもまた、今回彼にケジメをつけに来るまでの日々泣いたのだろうか?
ただの遊び相手にされた愛人の自分が、悔し涙を流すなんて許されない
ことですか?
『不倫相手だって、泣いてもいいですか?』
宮本茜は、きらびやかなネオンに彩られた夜の繁華街を──
胸の奥に沈む悲しみを抱え、涙で霞んで見える景色を潜り抜けながら静かに
通り抜けていった。
――――――― お し ま い ―――――――


