クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
#22【先輩視点】「近い、りんりん」――謝罪するつもりだったのに、距離感だけが壊れていく
19時半、駅の南口。
人の波に紛れるように改札前の脇に立ち、今夜言うべき言葉を頭の中で繰り返していた。
背後から、聞き慣れた声が飛んできたのはその時だった。
「先輩! お待たせしました!」
「あ……りんりん。いや、今来たところだ」
振り向いた瞬間、胸が詰まった。
彼女はいつも通り明るく笑っていた。
まるで、今夜が気まずい話し合いの場などではないかのように。
……いや、違う。
きっとこれは、彼女なりの気遣いなのだろう。
必要以上に緊張している俺を見て、わざといつも通り振る舞ってくれている。
「それじゃ、行きましょう! こっちです、先輩!」
「あ、おい……そんなに急がなくても」
「ダメですっ。私、もうお腹ペコペコなんですよ〜! 良さそうなお店予約してるので早く行きましょう!」
その勢いのまま、一瞬だけ袖を引かれる。
たったそれだけの軽い接触に、心臓が情けないほど跳ねた。
「分かった、分かったから……」
観念したようにそう返し、俺は小さく息を吐きながら彼女の後ろを歩き出した。
人の波に紛れるように改札前の脇に立ち、今夜言うべき言葉を頭の中で繰り返していた。
背後から、聞き慣れた声が飛んできたのはその時だった。
「先輩! お待たせしました!」
「あ……りんりん。いや、今来たところだ」
振り向いた瞬間、胸が詰まった。
彼女はいつも通り明るく笑っていた。
まるで、今夜が気まずい話し合いの場などではないかのように。
……いや、違う。
きっとこれは、彼女なりの気遣いなのだろう。
必要以上に緊張している俺を見て、わざといつも通り振る舞ってくれている。
「それじゃ、行きましょう! こっちです、先輩!」
「あ、おい……そんなに急がなくても」
「ダメですっ。私、もうお腹ペコペコなんですよ〜! 良さそうなお店予約してるので早く行きましょう!」
その勢いのまま、一瞬だけ袖を引かれる。
たったそれだけの軽い接触に、心臓が情けないほど跳ねた。
「分かった、分かったから……」
観念したようにそう返し、俺は小さく息を吐きながら彼女の後ろを歩き出した。