【凛視点】クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
フロアの向こう側。先輩はこちらを見ていない。相変わらず表情を変えず、モニターをじっと見つめている。
(……あんなに言葉が少ないのに)
三日前のことを、また思い出す。
プレゼンで固まってしまった私の横で、涼しい声で「私のミスです」と言い切ったあの横顔。
エレベーターの中で「こっちこそごめん」と、目を少し逸らしながら言った声。
そして今日の、「良かったら、これ」という短い一言。
先輩は、多くを語らない。
でも、その分だけ——行動が、全部正直だ。
(……この人、しゃべらないけど、上司としてちゃんと見てくれてるんだ。私のこと)
缶コーヒーを両手で包み直す。冷たいはずなのに、胸のあたりがじんわりと温かかった。
怖い人だと思っていた。近づきにくい人だと思っていた。
でも、この人はきっと——口下手なだけで、本当はすごく、気遣いのできる人なんだ。
……ちゃんと、お礼が言えた。それだけで十分なはずなのに、なんでこんなにもどかしいんだろう。
次に話せる機会があったら、もう少しちゃんと感謝の気持ちを伝えたい。
私はパソコンに視線を戻した。
さっきまであんなに疲れていたのに、不思議と、もう少し頑張れそうな気がしていた。
(……あんなに言葉が少ないのに)
三日前のことを、また思い出す。
プレゼンで固まってしまった私の横で、涼しい声で「私のミスです」と言い切ったあの横顔。
エレベーターの中で「こっちこそごめん」と、目を少し逸らしながら言った声。
そして今日の、「良かったら、これ」という短い一言。
先輩は、多くを語らない。
でも、その分だけ——行動が、全部正直だ。
(……この人、しゃべらないけど、上司としてちゃんと見てくれてるんだ。私のこと)
缶コーヒーを両手で包み直す。冷たいはずなのに、胸のあたりがじんわりと温かかった。
怖い人だと思っていた。近づきにくい人だと思っていた。
でも、この人はきっと——口下手なだけで、本当はすごく、気遣いのできる人なんだ。
……ちゃんと、お礼が言えた。それだけで十分なはずなのに、なんでこんなにもどかしいんだろう。
次に話せる機会があったら、もう少しちゃんと感謝の気持ちを伝えたい。
私はパソコンに視線を戻した。
さっきまであんなに疲れていたのに、不思議と、もう少し頑張れそうな気がしていた。