契約恋人のはずでしたが社長に溺愛されて離してもらえません

1章 契約恋人の始まり

「本日のスケジュール、最終確認です」

私はタブレットを差し出しながら、いつもの調子で言った。

「午前は役員会、その後、先方との打ち合わせが一件。昼食は移動中に取れるよう手配しています。夕方の会食は、先方の希望で場所を変更しました」

「……相変わらず抜かりないな」

低く落ち着いた声が返ってくる。

「仕事ですので」

私は淡々と答えた。

それ以上、会話は続かない。

それでいい。必要以上に言葉を交わす関係ではないし、踏み込む理由もない。

「清水」

不意に名前を呼ばれ、顔を上げる。

「午後の打ち合わせ、資料はもう確認済みか」

「はい。想定される質問と回答もまとめてあります」

「見せてくれ」

「こちらです」

タブレットを操作しながら、簡潔に説明を加える。
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