契約恋人のはずでしたが社長に溺愛されて離してもらえません
曖昧な返答。

「……わかりました」

結局、断る理由が見つからない。

——連れてこられたのは、落ち着いた雰囲気のレストランだった。

「こちらへどうぞ」

スタッフに案内される。

席に着くと、すぐにメニューが差し出される。

「好きなものを選べ」

「では……軽めのものを」

「遠慮するな」

「いえ、本当にこれで」

やり取りを見ていた店員が、くすりと笑う。

「仲がよろしいんですね」

「……ええ」

社長は迷いなく答えた。

その自然さに、私は言葉を失う。

注文が終わり、料理が運ばれてくる。

「……美味しいですね」

口にして、思わず本音が漏れる。

「そうか」

「はい。落ち着きます」

「それなら良かった」

短い言葉なのに、どこか柔らかい。
< 22 / 30 >

この作品をシェア

pagetop