黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
なにか気づいたフリをしてバッグを漁る。
取り出した携帯の画面を確認し、深刻そうに眉を顰めてみせた。

「すみません、上司から仕事のことで至急確認したいって連絡入って。
ちょっと失礼します」

口角を持ち上げ、腰を浮かす。
しかしすぐに男から手を掴まれた。

「待てよ。
こんな時間に仕事とかありえないだろ。
放っておけばいい」

不愉快そうに彼は言うが、先ほど部下に仕事を命じていたのは自分では?

「あー、でも、上司に逆らって職を失いたくないですし……」

曖昧な笑みにちょっぴり毒を含ませ、立ち上がろうとする。

「それで辞めさせられたら、オレが訴えてやるよ」

けれど彼は皮肉に気づいていないどころか決まったとばかりにドヤ顔で、頭が痛くなってきた。

「でも、会社を辞めさせられたら元も子もないですし……」

「なんだ、そんな心配をしてるのか?
オレの事務所で雇ってやるから心配するな」

なにを言ってもこの人には無駄なんだと遠い目になった。
しかも父親の事務所に雇われているはずなのに、オレの事務所になっている。

「だからさ。
オレと一緒に……」

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