黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
犯人はわかったが、どうやって証拠を見つけたらいいのかは見当がつかない。
晴貴さんに相談したらいい知恵を貸してくれそうだと思ったが、携帯は取り上げられた。

「……帰りにマンション、行ってみようかな」

もうそれしか思いつかない。

午後からもコピーの続きを取る。

「終わりました」

何度も紙を補充し、できあがった書類の束を作業机に積んで課長に報告した。

「なんだこれは。
もう必要ない資料じゃないか。
なんでこんなもの、しかもこんなに大量にコピーしたんだ」

ぺらりと上のほうを確認するフリをして、棒読みで課長が責める。
失笑が起き、俯いて硬く奥歯を噛みしめた。

「全部シュレッダーにかけて処分してくれ。
あーあ、こんな無駄にコピーしてこの分の経費、どうしてくれるんだよ」

にやにやと笑い、課長が私の精神をすりおろしてくる。
ちゃんと指摘したのに、押し切って命じてきたのは課長ではないか。
最初からその気なのはわかっていたが、それでも、気持ちが摩耗していくのを感じた。

裏に回り無言でシュレッダーをかけていく。
終わったときには終業時間近くになっていた。

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