黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
あのタワマンパーティの一件だけでも、絶対に関わりたくない人だと私の中にはインプットされている。

「所長も奥様もいい人だし、なんであの人だけああなのか」

今度は三人が揃って、憂鬱そうにため息をつく。
よほど普段から彼には苦労させられているようだ。

「所長も憲吾先生には見切りをつけているのか、留学させなかったもんね」

「だからって陽川先生を敵視するのはどうかと思うけど!」

晴貴さんはアメリカに留学して資格を取り、向こうで経験も積んできたと聞いている。
それって特別扱いだったんだろうか。

「夜桜さんも気をつけなよ」

その忠告は私が晴貴さんの秘書だからかと思ったけれど。

「憲吾先生、女癖が悪いからさ」

「そうそう。
だから所長、憲吾先生には絶対、女性をつけないし」

口々に言われ、私も経験があるだけに遠い目になった。

「……気をつけ、ます」

曖昧な笑顔で彼女たちに答える。
まさか、すでに口説かれましたとは言えない。

「パワハラも酷いけどね」

「前の秘書もそれでこのあいだ、辞めたばっかりだし」

「『もうお前には秘書をつけない!』って所長、かなりお怒りだったもんね」

< 137 / 253 >

この作品をシェア

pagetop