黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
三人は苦笑いしているが、そのパワハラの現場に立ち会っていた身としてはどう反応していいのか悩む。
仕事を押しつけられ、あんなふうに怒鳴られるのがいつもなら、辞めたくなるのは当然だ。

「大丈夫、憲吾先生以外はまともだから」

「大御所先生も癖強なだけで常識はあるし。
そもそも、普段は事務所にいないし」

「所長も憲吾先生対策はやってくださってるわ」

若干、不安になっている私をフォローしてきたが、こんな話を聞いてしまったら無理がある。
よく考えずに就職してしまったのを早くも後悔していた。



職場は定時で帰してもらえた。
仕事も終わっていないのに。

『え?
初日くらい定時で帰ってよ、いろいろ疲れたでしょ?
あとはこっちで巻き取るし。
明日からバリバリ頑張ってもらうから、今日はゆっくり休んで』

……と、斉藤さんから半強制的に帰らされたときは夢でも見ているのかと思った。

「えっと……。
先に帰って晩ごはん作って待ってます、と」

ビルの下にあるベンチに座り、晴貴さんへメッセージを送る。
私が事務所を出るとき、まだ帰ってきていなかった。
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