黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
事務所周辺もマンション周辺も高級スーパーしかないのが困る。

『食費は僕が出すから気にしないでいいよ』

……と、晴貴さんがお金をくれているが、庶民としては気になるに決まっている。

晴貴さんのマンションに帰り、着替えて料理を始める。
今日はハンバーグにしようと決めた。

なぜか私はまだ、晴貴さんのマンションで生活している。
気持ちも落ち着いて薬も減った。
それに晴貴さんが危惧していた、会社の人間が家に押しかけてくるという事態ももうなさそうだが、まだここにいる。

前の会社で査問会にかけられたあと、晴貴さんが私を自分の部屋に置いたのは気持ちが不安定なのもあったが、会社の人間が家に押しかけてくるのを警戒してだった。

実際、一度、着替えを取りに部屋に帰ったらポストへ会社の人間と思われる、大量の嫌がらせの手紙が入っていた。
それらは重要な証拠となるからと晴貴さんが保管している。

今から帰ると連絡をもらい、時間を見計らってハンバーグを焼く。
ちょうど焼き上がった頃、彼が帰ってきた。

「ただいまー」

「おかえりなさい」

ちゅっと軽く、彼の唇が重なる。
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