黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
いやでも、ドヤ顔で晴貴さんより自分のほうがいい男とか言われたら、我慢するのはちょっと無理。

「アイツのほうがいい男とかオマエの目、腐ってるのか?」

よく見て確認しろとでもいうのか、彼が私の顎を掴み至近距離にまで顔を寄せてくる。
たぶんエステとかに行って髭脱毛もしてお金をかけているんだろうなっていうのは理解するが、私の好みは断然晴貴さんのほうだ。

だいたい、中身が全然違う。
晴貴さんは中身がイケメンだが、憲吾先生はパワハラ気質だし。

気づいたらパーソナルスペースとかガン無視どころか、憲吾先生はキスする体勢に入っていた。
恐怖が身体を支配し、指一本動かせなくなる。
呼吸が速くなっていき、カタカタと震えながら近づいてくる顔をただ見ていた。

「……なに、してるんですか」

凍てつくほどに冷たい声が聞こえてきて、憲吾先生が止まった。

「なにをしているのかと聞いているんです」

つかつかとやってきたその人――晴貴さんが私を庇うように憲吾先生とのあいだに割り込む。

「ちょっと揶揄ってただけだろ」

悪びれるどころか憲吾先生はバカにするように軽く笑った。
私の視界を大きな背中が塞ぐ。

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