黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「バカ。
未遂で強制わいせつは無理だろ。
暴行だ」

しかしすぐに、呆れ気味に男性ベテラン弁護士から修正が入った。

「えー。
未遂でも心に負った傷はそれくらい深いですー」

立ち上がった彼女が不満げにベテラン弁護士に抗議する。

「わかるけど成立するかどうかは別問題だ」

全員の口からはぁーっと大きなため息が落ちた。

「では、鹿野谷先生。
憲吾先生に対して訴訟を起こしますがよろしいですか」

すーっと抑揚のない声が響き、誰もが所長に尋ねた晴貴さんに注目していた。

「ええ。
あのバカ息子は一度、痛い目を見ないと学習しないようですし。
陽川先生には迷惑をかけますが、徹底的にやってやってください」

「わかりました」

重く晴貴さんが頷く。

「……僕の夏初に手を出したこと、一生後悔させてやる」

直後、うっすらと笑った彼に誰もが怯えていた。

騒動のせいでなし崩しに私の歓迎会は終わってしまった。

帰りはまだ心配だからとタクシーだった。

「夏初」

「はい?
……んんっ」

部屋についた途端、靴も脱がないうちに晴貴さんから名を呼ばれる。
顔を上げた瞬間、いきなり唇が重なった。
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