黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
唇を割って彼が侵入してきて、呼吸さえ奪うようにがっつり貪られる。
頭がくらくらして私が崩れそうになった頃、ようやく彼は唇を離した。

「……消毒」

彼の親指が、自身が濡らした唇を拭う。

「アイツに触られたところ、綺麗にしないと」

「えっ、あっ」

私の顔を両手で挟み、彼は汚れを落とすようにごしごしと擦った。

「特にここ」

服の上から彼が、心臓の位置に口づけを落とす。

「全部僕で上書きして、綺麗にしてやるからな……」

唇の端を僅かに持ち上げてうっすらと笑う晴貴さんの、眼鏡の奥の瞳には嫉妬の仄暗い炎が燃えていた。

「……はぁっ、ああっ、……んんっ、……もう、無理……!」

何度目かの絶頂を迎え、きつく晴貴さんの腕を掴んで身体を震わせる。
同時に彼が果てた。

荒い息を繰り返し、心地いい疲れに浸る。
丁寧に指で、舌で愛撫され、数え切れないほど達せられた。
そのあとはがつがつと求められ、ようやく息をついたものの。

「まだだ。
これくらいじゃ、まだアイツを消せてない」

けれど彼はまだ許してくれない。

「夏初に触れていいのは僕だけだ。
この僕、だけだ」

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