黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「今日、警察であのときのことを再現したとき、僕から軽く拘束されただけで夏初の身体は震えていた」

そんなの、自分でも気づいていなかった。
私に触れた晴貴さんだからこそ、わかったのだろう。

「僕が思うよりずっと、怖い思いをしていたんだな」

そっと彼の両手が私の手を取る。
眼鏡の向こうの目は、泣き出しそうに歪んでいた。

「すぐに助けに行けなくてごめん」

「晴貴さんが悪いわけじゃないので」

あのときも散々、詫びてくれたのにまた彼が詫びてくれる。
こういう彼だから一緒にいて、安心できるのも知っている。

「憲吾先生にはこれ以上ないほど、深く反省してもらう。
絶対に許さないし、容赦などしない。
夏初は僕を止めるか」

じっと私を見つめる瞳は、こんな自分は嫌われるのではないかという恐怖と不安で揺れていた。

「そう、ですね」

ぎゅっと晴貴さんの手を握りしめる。

「晴貴さんが自分を罰するために憲吾先生を追い詰めるというのなら止めます」

図星だったのか、彼が短く息を飲むのがわかった。

「でも憲吾先生に私が味わった恐怖を理解してもらって反省してもらうためなら、止めはしません。
というかどんどんやっちゃってください」

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