黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「夜桜さんは別件のせいで、強いストレスがかかると過換気症候群の発作を起こしやすくなっているんです。
このことは事務所の人間に共有されていますし、鹿野谷弁護士も知っているはずなんですが」

気遣うような警察官たちに晴貴さんが説明する。
机の下で手を握ってくれて落ち着けた。

そうだ、憲吾先生は私が過呼吸の発作を起こしやすくなっているのを知っているはずなのだ。
なのに会議室に閉じ込めて圧をかけてくるなど、考えられない。

一通り話も終わり、警察署をあとにする。
もう遅くなっていたし、今日中に終わらせないといけない要件もないので直帰になった。

晩ごはんは作ると言ったのだが、警察に行って疲れただろうから出前を取ろうと晴貴さんが提案してくれ、ありがたく乗る。

頼んだピザが来るまでに着替えに行こうとしたらソファーに座るように言われた。
隣に腰を下ろしたが、彼はどこか思い詰めているようで胸がざわめいた。

「夏初がつらい思いをしたのは理解しているつもりだった」

なにを言っているのだろうと一瞬、考えて憲吾先生の件だとピンときた。

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