黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「……ありがとうございます」
甘えるように肩をぶつける。
きっと、すぐにでも帰ってきたかったに違いない。
それでもちゃんと仕事はこなしてきた。
もし、いくら私のためでも裁判を放って帰ってきていたら、軽蔑していたかもしれない。
「そんなわけで明日の朝にはまた向こうに行かないといけないけど、今日は一緒にいるよ」
くしゃりと柔らかく、晴貴さんが私の髪を撫でる。
それだけで涙がじわりと浮いてきた。
「……はい」
湿りそうになる声を、鼻を啜って耐える。
――けれど。
「……僕と一緒のときくらい、我慢しなくていい」
晴貴さんの腕が、私を包み込む。
ふわりと香る、彼の匂い。
すぐ傍に感じる、体温。
ゆっくり私の髪を撫でる、手。
それらすべてが私を弱くさせる。
「なんで私が、こんな目に遭わなきゃいけないんですか」
「そうだな」
「私、なにもしてないのに」
「わかってる」
しゃくり上げながら話す私に、晴貴さんが優しく相づちを打つ。
「私、憲吾先生や篠木さんに恨まれること、しましたか」
「してないな」
「憲吾先生も篠木さんも――」
「夏初」
――同じ目に遭えばいい。
甘えるように肩をぶつける。
きっと、すぐにでも帰ってきたかったに違いない。
それでもちゃんと仕事はこなしてきた。
もし、いくら私のためでも裁判を放って帰ってきていたら、軽蔑していたかもしれない。
「そんなわけで明日の朝にはまた向こうに行かないといけないけど、今日は一緒にいるよ」
くしゃりと柔らかく、晴貴さんが私の髪を撫でる。
それだけで涙がじわりと浮いてきた。
「……はい」
湿りそうになる声を、鼻を啜って耐える。
――けれど。
「……僕と一緒のときくらい、我慢しなくていい」
晴貴さんの腕が、私を包み込む。
ふわりと香る、彼の匂い。
すぐ傍に感じる、体温。
ゆっくり私の髪を撫でる、手。
それらすべてが私を弱くさせる。
「なんで私が、こんな目に遭わなきゃいけないんですか」
「そうだな」
「私、なにもしてないのに」
「わかってる」
しゃくり上げながら話す私に、晴貴さんが優しく相づちを打つ。
「私、憲吾先生や篠木さんに恨まれること、しましたか」
「してないな」
「憲吾先生も篠木さんも――」
「夏初」
――同じ目に遭えばいい。