黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
私の首が斜めに傾いたところで車は信号で止まった。

「はぁーっ」

ハンドルにもたれかかった陽川さんが大きなため息をつき、身体がびくりと大きく震える。

「あんなの、その場しのぎじゃないですか。
僕はきちんと、夏初さんの誕生日を祝いたいんですよ」

顔を上げた彼が真剣に私を見る。
私としては昨日のあれで感無量だったが、彼としては違うらしい。

「あー、えっと、気持ちは嬉しいんですが……」

信号が青になり、車は再び走り出す。

「またお金のこと、考えてます?」

聞かれて、うんうんと頷いていた。

「んー、そうですね。
僕、趣味がなくて、服や食事もあまり拘らないのでお金が貯まる一方なんですよ」

「ハイ……?」

だからなんだというのだろう?

「なのでたまには、お金を使って経済を回させてください」

彼が大真面目になにを言っているのか理解できない。
が、私が気兼ねしないでいいように気を遣ってくれているのは理解した。

「そう、ですね。
経済を回すのは大事なことですもんね」

「はい。
じゃあ、そういうことで」

上機嫌に彼がアクセルを踏む。
本当に陽川さんはスパダリすぎて困る。
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