黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
私だったらこれだけのメニューをこなしていたら破産する。

今まではこのあいだのパーティのようなところで知り合った人の援助で、やっているのだと思っていた。
……でも、そうじゃなかったら?

ばくん、ばくんと心臓が大きく鼓動し、手のひらがじっとりと汗を掻く。

……篠木さんが犯人?

彼女が会社のお金を横領、その罪を私に着せようとしているのだろうか。
けれど彼女に恨みを買った記憶などない。
それに同期を疑うなんてという後ろめたさもあった。

「……素敵なネイル、だね」

「でっしょー」

自慢するように彼女が、私に見せてくる。

「もーさー、なかなか予約の取れない人気のネイリストでさー。
ツテを頼ってようやくしてもらったんだー。
まあ、その分高かったけど」

うっとりと彼女が自分の爪を眺める。
そのお金は会社からだよねと口から出かかったが、かろうじて飲み込んだ。

「そう、なん、だ」

からからに乾いた喉に水を流してどうにか湿らせる。

「てか夜桜、その指環」

篠木さんの視線が向く、右手の薬指を見る。
そこには晴貴さんに買ってもらった指環が嵌まっていた。

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