復讐のために近づいたのに、冷徹御曹司の溺愛から逃れられない

第1章 秘書になった夜、すべてが始まった

その日、私の全てが狂い始めた。

「詩織!早く来て!お父さんが!」

母からの一報を聞いて実家に走ったのは、深夜だった。

「どうしたの!お母さん!」

リビングに行くと、そこには信じがたい光景が待っていた。

「お、お父さんっ……どうしてっ……」

父が首を吊っていたのだ。

「お父さん?」

母と二人でようやく父をおろすと、父の息はとうになくなっていた。

「そんな……」

父は大企業の社長を務めていた。

それを誇りに思っていた。

簡単な理由で、それを手放すとは思わなかったし、何より命を捨てるなんて、そんな事をするとは思っていなかった。

冷たくなっていく、父の身体。

泣きじゃくる母の姿だけが、目に焼き付いた。
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